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(社)熊本県労働基準協会

平成18年度事業計画

 わが国の経済は、長い調整局面を経てようやく回復基調に入ったと言われている。県内においても、一部の業態を除いて緩やかな回復傾向が見られるところである。
 これに伴って、雇用情勢も改善が見られるところであるが、この間派遣労働等による非正規従業員の増加などにより雇用就労形態の多様化は一層進んでおり、労働環境へも影響を及ぼしている。
 平成18年度の事業については、基本的に労働基準関係法令に基づく適正な労働条件の確保と改善、「第10次労働災害防止計画」に基づく労働災害の防止や健康の確保のための事業を中心に、熊本労働局の行政運営方針を踏まえ実施する。

 

1.はじめに

  1.  当協会は、これまで会員各位のご理解と行政ご当局のご指導とご支援により事業活動を実施してきた。創立50周年という大きな節目を経過したところでもあるが、現状では協会活動を取巻く環境は必ずしも容易なものではない。
     当協会は、会の趣旨を理解した県内の先進的な事業場により組織された自主的な事業者団体として、その事業を通じ県業界全体の労務管理の適正化、労働条件の改善、安全衛生水準の向上などに大きな役割を果たしてきた。
     然し、法令の普及の進展や、社会情勢の変化に伴う意識変化、さらには、厳しい経済状況による事業閉鎖や合理化等により、会員数は平成12年度をピークに減少傾向にあり、事業収入も平成10年度あたりから減少に転じた。
    また、各種の大会、セミナー等への事業場からの参加にも陰りが見られる。
  2. このような状況において、今後の協会活動は基本的な会としての性格を 踏まえながらも過去の活動を検証し、従来に増して会員への必要な情報の提供と会員ニーズに沿った事業内容の展開を図っていくことが必要であり、会員並びに行政ご当局の一層のご支援、ご協力をお願いしたい。

2.基本的考え方

  1.  当協会は、労働基準行政活動を支援する自主的な活動を通じ、会員事業場の適正な労務管理、労働災害の防止、健康確保、職場環境の改善等に資することを目的としており、このことがひいては健全な事業経営にも繋がり、県産業界の発展にも貢献することをめざしている。
     そのためには県内事業場全体に占める協会会員数の一定の割合確保は絶対の要件であり、組織として事業活動を機能的かつ継続的に行うための財政基盤の安定が重要であることは論を待たない。
     これらの観点から、当協会の状況をみると、長期化した経済の低迷により企業体力の低下による雇用調整、組織の再編縮小などにより、会員の減少、主要な事業収入である技能講習等の受講者数の減少が続き、ここ数年厳しさを増してきたが、17年度においては一定の変化が見られたところであり、これらの状況変化を踏まえて、18年度においても会員拡大と健全財政の維持を念頭におき、事業内容の充実と会員サービスの向上に一層努めることが重要である。
  2.  協会会員の拡大、会員サービスの提供、各種事業活動を充実していくためには、本部組織並びに各支部の体制確立が不可欠である。
     その点から、会員と協会の接点となり支部活動の拠点でもある支部事務所の開設は、一定の財政面の負担があるものの必要である。
     今まで熊本支部は協会事務所に同居してきたが、各支部がそれぞれ独立した事務所を開設していること、事務所が手狭で支部活動にも支障があることなどから、熊本支部の要望もあり18年1月に熊本監督署近くに事務所を移転したところであり、事務所の開設が今後の支部活動の充実に繋がることを期待したい。
     その他、18年3月末に阿蘇監督署の廃止統合、本渡監督署の名称変更、管轄区域の一部変更等が行われたが、協会もこれらに対応した措置をとり、一層熊本労働局、各監督署のご指導、ご支援を得ることに努めたい。
     また、公益法人改革、情報公開と個人情報の保護などへの対応もあり、従来業務の見直しや合理化の必要性を認識しているところであり、協会の財政状況も考慮しつつ改善を進め円滑な協会運営に努める。

 

3.広報誌の発行など諸定例的な事業と会員拡大対策事業

 協会と会員を繋ぐ協会報は、当協会事業の主要な柱の一つであり、協会活動状況や会員が必要とする情報などについて会員内外への周知と理解を得るためにも重要であり、定期的な発行と発行部数を堅持するとともに、今後もより分かりやすく親しみやすい紙面の充実に向けて努力する。

 また、会員の拡大については、協会の基礎体力を維持し強化するために不可欠であり、5ヵ年計画により取り組んできたが、長期にわたる厳しい経済状況の下伸び悩み、会員の減少を招いた。
 然し、17年度においては、新規会員の拡大努力もあり会員の減少に一定の歯止めがかかったところである。
 これを契機に本年度も会員獲得のため、その効果的対策の検討を含め積極的に取り組む。

 

4.労働時間、労働条件の整備改善事業

 昨年度に引き続いて賃金不払残業の解消、過重労働による健康障害防止のための適正な労働時間管理を始めとして労働基準関係法令等に基づいた各種の労働条件の確保、労働時間制度の改善、これらの枠組としての就業規則の整備等について自主的な改善のための支援、援助活動を行う。

 また、昨年いわゆる「時短促進法」が改正され、「労働時間等の設定に関する特別措置法」(「労働時間等設定改善法」)が成立、本年度から施行されることとなり、一律年間総労働時間1800時間達成を目指していた我が国の労働時間政策は大きく転換することとなったが、法改正の趣旨と内容、及び「労働時間等設定改善指針」について広報啓発等の活動を推進するとともに、これから予想される労働時間制度に係る法制度の改正に関する情報の提供の努める。
 なお、平成19年に法案提出が目指されている「労働契約法制」を始め企業の人事・労務管理に関係する、改正高年齢者雇用安定法の施行に伴う対応、「公益通報者保護法」「個人情報保護法」等に関する情報の提供、啓発に努める。

 これらについての具体的な活動は次の事業を通じて実施する。

(1)協会報等による周知、広報、啓発

 イ.行政が展開する運動、キャンペーンの紹介

 ロ.行政指導結果

 ハ.法令改正等の動き、改正内容

(2)全国労働基準関係団体連合会(「全基連」)が国から委託を受ける事業(熊本県支部が実施)を通じての必要情報の提供と啓発、援助

 イ.労働基準関係情報提供事業

 ロ.新規起業事業の労働条件サポート事業

 ハ.労働条件相談センター事業(センターの設置)

 ニ.仕事と生活の調和キャンペーン事業(シンポジウムの開催)

(3)協会への直接委託事業による指導援助

 イ.労働時間等設定改善援助事業

 ロ.有期契約労働者労働条件改善推進事業

(4)労務部会の事業として人事・労務に関する「セミナー」「研修会」の開催(「全基連」との共催を含む。)

 

5.労働者の安全と健康確保のための事業

 県内の労働災害による被災者数は、昨年死亡災害、休業災害ともに減少し、2年連続の減少となった。
 然し休業災害の減少率は最近鈍化しており、全国的には重大災害に増加傾向が見られるなど、安全管理水準の低下等が懸念されている。

 また、急速な高齢化が進む中で定期健康診断における有所見者の割合が年々高まる一方、県内でも働き盛りの勤労者の自殺増加が見られ、労働者の心身の健康の確保の課題も重要である。

  本年度はこれらの課題について、「第10次労働災害防止計画」を基本として熊本労働局との連携の下、各種の対策を自主的な活動として展開するが、労働安全衛生法が開催され本年度施行されることに対応し、具体的には以下の事業を重点的に進める。

@ 「改正安衛法」の周知のための事業

 イ.広報誌への掲載

 ロ.「安全管理講習会」「衛生管理講習会」等を通じての周知

 ハ.「製造業元方管理指針」の周知

A 「労働安全衛生マネジメントシステム」の導入促進、定着のための事業

 イ.広報誌、セミナー等を通じての導入事例の紹介

 ロ.熊本労働局の「くまもと労働安全衛生マネジメントシステム推進計画」に対する協力

 ハ.「中央労働災害防止協会」(「中災防」)との共催による「リスクアセスメント研修会」の開催

B 安全衛生教育の事業

 イ.習事業等計画に基づく技能講習、特別教育、一般安全衛生教育を通じての事業場における有資格者の確保と安全衛生教育の補完

 ロ.「安全管理者選任時研修」「石綿作業主任者技能講習」の開始

C ゼロ災活動の推進のための事業

 イ.KYTリーダー研修をはじめとする各支部ゼロ災部会の活動の推進

 ロ.コーディネーターの確保と資質向上

 ハ.「熊本ゼロ災推進協議会」の開催を通じての情報の共有化や相互援助

D 交通労働災害防止対策の推進のための事業

 イ.広報誌などの活用による「交通労働災害防止ガイドライン」の周知

 ロ.「熊本県労働災害防止対策連絡協議会」への参加と情報の提供

 ハ.KYTリーダー研修における交通KYを通じての事業場への普及

E 小規模事業場における安全衛生水準のレベルアップのための事業

 イ.「小規模事業場等団体安全衛生活動援助事業」(たんぽぽ計画)による事業者団体及び構成事業場に対する支援

 ロ.「安全衛生推進者講習」「職長教育」への受講勧奨による安全衛生管理体制の整備の促進

F 化学物質等による健康障害防止のための事業

 イ.化学物質の表示・文書交付制度、危険性等の調査指針、有害物ばく露作業報告制度の周知

 ロ.「中災防」との共催による研修会等による「化学物質等管理指針」の普及定着

 ハ.作業主任者講習等を通じての「石綿障害予防規則」の周知と対策の徹底

 ニ.石綿健康診断の実施勧奨と健康管理手帳制度の周知

G 労働者の健康の確保

 イ.熊本労働局の「くまもと健康診断実施促進運動」への協力

 ロ.「熊本THP推進連絡協議会」の活動を通じての県内事業場への 「健康づくり運動」の普及(「THP推進大会の開催等」)

 ハ.事業場の健康づくりを直接支援する事業THPステップアッププランの紹介

H メンタルヘルス対策の推進のための事業

 イ.「メンタルヘルス研修」などによる教育研修の実施

 ロ.中災防との連携による「メンタルヘルス対策支援事業」の推進

 ハ.熊本産業保健「こころの健康アドバイザー制度」の紹介

I 快適職場づくりのための事業

 イ.「熊本快適職場推進センター」による「快適職場推進計画」認定制度の普及啓発と認定申請の促進

 ロ.「熊本快適職場推進大会」、「喫煙対策推進教育研修会」の開催

 ハ.熊本快適職場推進協議会の開催

J 「熊本県労働衛生管理研究会」の事業

 イ.研修会、交流会の開催と内容の充実による労働衛生担当者の資質向上

 ロ.熊本産業保健推進センター、THP推進連絡協議会等労働衛生関係機関との連携した活動

 

6.賃金、家内労働、労働福祉対策

 最低賃金、最低工賃の周知徹底は、特に小規模零細企業における法定労働条件の確保に直接係るものである。
 また、雇用形態の多様化が進んでいる現在、企業における賃金制度の見直し等も行われており、近い将来予定されている適格退職年金制度の廃止に伴う企業の退職金制度の変更問題も生じてくる。
  特に中小企業における賃金制度並びに退職金制度の整備については、専門家の助言指導を必要としている。   このため、次の事業を実施する。

@ 最低賃金、最低工賃の広報活動事業

A 賃金関連統計等データーの収集と紹介

B 「全基連」が国から受託している「賃金制度改善支援事業」による団体支援と個別事業場の賃金制度診断の事業

C 賃金部会による賃金セミナーの開催(「全基連熊本県支部」との共催を含む)

D 中小企業退職金共済制度の周知、加入促進

7.その他

次の事項について、広報、セミナー等による周知啓発に努める。

@ 労働保険制度の広報等による周知と年度更新に係る事務処理等の周知

A 労災保険法改正による通勤災害範囲の拡大についての周知

B 石綿による健康被害者等の労災補償給付と特別法による救済制度の周知

C 労働保険徴収法改正による有期事業のメリット制の増減幅の拡大の周知

D 職業生活と家庭生活との両立支援対策の周知啓発

E 育児、介護休業法の周知と就業規則の整備勧奨

F 雇用分野での男女の均等な機会と待遇の確保対策等の周知

G 職場におけるセクシュアルハラスメント防止対策の啓発

 


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